適材適所の冷媒選択
~温暖化が及ぼす影響とは?~

朝夕少しずつ秋の気配を感じるこの頃ですが、いかがお過ごしですか?「白露」を迎え、少しずつ朝晩暑さが和らいできましたが、日中はまだまだ暑い日が続いているので、水分補給を忘れずに、夏バテにお気をつけください。

今年の夏は酷暑と言われますが、世界各地で異常気象や気候変動の影響が出ています。今回は2025年から更に一段引き上げられる、日本での地球温暖化対策とダイキンの適材適所の考え方についてお伝えします。

 

 
地球温暖化と温室効果ガスの関係性

地球温暖化は温室効果ガスが原因の一つとしてあげられており、それらの排出を抑制していくため、日本では削減目標とし て2050年までにカーボンニュートラル達成を目標としています。温室効果ガスの中にはフロンも含まれており、フロンは大気中に漏れてしまうことで温暖化に寄与してしまいます。しかし、フロンは空調機を構成する要素の一つであり、現在日本では、フロンの回収を義務付けていますが、市場投入量の4割程度しか回収出来ていません。言い換えると6割は大気に放出されていることが想定され、地球温暖化に悪影響を及ぼしている可能性があります。

代替フロン等3ガスの2020年排出予測と機器使用時漏洩源の内訳

出典:産業構造審議会化学・バイオ部会地球温暖化防止対策委員会  代替フロン等3ガスの排出抑制の課題と方向性について

 

フロンが与える地球温暖化へのインパクトと対策

エアコン1台に使われている冷媒量に温暖化係数(GWP)を掛けると、機種や能力にもよりますが約50t-CO2程度に相当します。これはレジ袋に換算すると150万枚作る時、乗用車であれば日本を40周する時に排出されるCO2排出量と同じ換算になります。フロンが大気中に放出された時のインパクトが大きいことが分かります。

 

 

2018年モントリオール議定書キガリ改正から、環境省を中心に日本でも段階的に生産量、消費量それぞれを削減することに決め、フロン排出抑制法の改正では使用者(エンドユーザー)への厳罰化の強化が行われています。

 

※基準値:2011-2013年実績の平均値から計算
 出典:環境省(令和5年度フロン排出抑制法についての説明会

 

日本国内では指定製品制度によってGWPの目標値と目標年度を定め、段階的に製品に使用する冷媒の低GWP化を進めています。フロンを大気中に漏らさない事、漏れてしまった場合でも地球温暖化影響の少ない冷媒を使うことの両方の対策が必要になります。

 

2025年4月からはさらに低GWPのフロン採用枠が広げられ、大型業務用空調機への搭載が実行されます。(指定製品化制度)

(空気だより記事「地球温暖化抑制へ向けて~指定製品制度について~」)

各製品別の指定製品化の市場投入年度目標 

ダイキンでは、数あるフロンの中で、現状ではR32が対人空調温度域での最適な選択と考えています。 

 

各冷媒の特徴

冷媒を考えるにあたり、5つのファクターがあり、その総合値として冷媒の評価をしています。

 

5つのファクターとは、

 

1、オゾン層保護 

  …オゾン層破壊物質の有無と影響度 

2、経済性 

  …世界中で流通させるにあたっての生産コストの大きさ 

3、安全性 

  …燃焼性や毒性の有無など漏れた際の影響の大きさ 

4、省エネ性 

  …空調機へ搭載時の性能係数 

5、LCCP(ライフサイクル気候性能) 
  …製品やシステムの全ライフサイクルを通じての温室効果ガス排出量とその環境影響度 

 

これら5つのファクター全てのバランスが良いと考え、ダイキンは一般空調用にR32冷媒を採用しています。

 

適材適所の冷媒選択

ダイキンでは一般空調のみならず、冷凍冷蔵機器も取り扱っています。現在のところ、すべての冷凍・空調機器でベストパフォーマンスを出せる唯一の理想的な冷媒は存在しません。機器ごとに総合的な評価をし、適材適所の冷媒を選定することが大切だと考えています。
 

ダイキンはこれまで国際的な冷媒動向に先立つ取組みを実施してきました。過去の経験やファクターに基づく総合評価を実施した上で、今後も適材適所の冷媒を開発、製造していくことの重要性を認識しています。

 

国際的な冷媒動向の変遷とダイキンの取り組み