~地球温暖化抑制へ向けて~

指定製品制度について

地球温暖化抑制に向けて、エアコンなどに使われる冷媒の規制が強化され、2025年4月からビル用マルチエアコンにおいて低GWP冷媒の採用を規定する「指定製品制度」が始まります。今回はビル用マルチエアコンの指定製品化など今後の段階的フロン削減への取り組みについてご紹介します。

 
指定製品制度とは

 

「指定製品制度」とは、フロン排出抑制法に基づき、フロン類使用製品の低GWP※1化・ノンフロン化を進めるため、フロン類使用製品の製造・輸入業者(メーカー)に対して、出荷する製品区分毎に、環境影響度低減の目標値、目標年度を定め、事業者毎に、出荷台数による加重平均で目標の達成を求める制度です。

※1:地球温暖化への影響度をCO2を1としたときの値

 

 

 

既に指定製品化された家庭用エアコンや店舗用エアコンに加え、2025年4月よりビル用マルチエアコン(新設用・冷暖切替タイプ)も指定製品化されることとなっております。

 

ビル用マルチエアコンの環境影響度の目標値はGWP値750ですが、現在ビル用マルチエアコンに多く採用されている冷媒R410AはGWP値が2090と目標値を大きく上回っております。そのため、GWP値の低い冷媒の採用が求められ、安全性、環境性、経済性、省エネ性の観点からGWP値が675である「R32」冷媒が現状では最適と考えられています

つまり、2025年4月以降はR32冷媒を搭載したビル用マルチエアコンが各メーカーから上市され、従来の冷媒であるR410Aを搭載したビル用マルチエアコン(新設用・冷暖切替タイプ)はメーカーからの出荷が制限されます。

 

 

日冷工ガイドライン「GL-20」「GL-16」

冷媒は低 GWP になるに従い燃焼性が高くなり、温暖化影響と燃焼性にはトレードオフの関係にあります。そのため、冷媒の低 GWP 化には、燃焼性を有する冷媒を安全に使用する方法が必要になります。

R32冷媒も燃焼性区分では最も低い区分ではありますが「微燃性」に該当します。ただし、燃焼速度は10cm/秒以下と遅く、燃焼したときの炎が水平方向に伝播しないこと(万が一燃焼したとしても、爆発燃焼が生じない)と、機器に使用する際はリスクアセスメントを実施し、安全に使用できることを確認しています。

リスクアセスメントの結果、日本冷凍空調工業会(JRA)は微燃性冷媒を使用するにあたり、取り扱い方法をガイドライン(JRA GL-20、JRA GL-16)として制定しました

 

●GL-20

特定不活性ガスを使用した冷媒設備の冷媒ガスが漏えいしたときの燃焼を防止するための適切な処置

●GL-16

微燃性冷媒を使用した業務用エアコンの冷媒漏えい時の安全確保のための施設ガイドライン

 

当社としても、今後R32を搭載したビル用マルチエアコンをご使用の際は、これらのガイドラインに従って設計・施工していただく必要があると考えます。

 

 


ガイドラインの概要

 R32などの微燃性冷媒ガスの漏えい時に燃焼を防止し居室内の安全を確保するため、下記『❶』または『❷~❹』に規定する安全措置のうち一つの基準に適合しなければなりません。そして『❷~❹』を選択した場合は、『❺検知警報設備』を設置しなければなりません。

 

ガイドラインの詳細については日本冷凍空調工業会のガイドブックをご参照ください。

微燃性(A2L)冷媒を使用したビル用マルチエアコンを安全にご使用いただくためのガイドブック2023

 

低GWP冷媒R32採用VRV7について

 ダイキンでは、低GWP冷媒R32を採用したビル用マルチエアコンを「VRV7」として2024年11月より発売いたします。

JRA GL-20,16に則った安全対策の現地手配・施工部分が最小限となるよう、機器に安全装置を
内臓します。

  

 

 

■VRV7の特長(ガイドラインへの対応)

・冷媒漏えい検知器を室内機に標準搭載

・警報機は個別リモコンや集中管理機器(iTM,iTC)が兼ねます

現地手配や別途購入の必要なし!

・室内機と配管接続部にフレアレスジョイントを採用

配管接続部用の検知器の設置が不要!

 

 

・遮断弁は安全装置としての役割以外にも省エネ性向上の役割も果たします。

 

 

また、省エネ性のさらなる向上や快適性の向上、省施工・省メンテナンスなどの機能性の向上で様々なニーズにお応えできるよう開発しました。

カーボンニュートラル、地球温暖化抑制、BCP対策や働き方改革など企業が求められる様々な課題の解決へVRV7が貢献します。

 

2029年までは、指定製品化の対策で、キガリ改正で定めた日本国としての代替フロン削減目標の数値を達成する取組を行っていきます。2029年以降へ向けた取組については現在検討されているところです。当社では環境性と安全性の両立した新冷媒の開発などを重要なミッションととらえて進めていきます。