「エアコンをつけっぱなし」が日本の夏の新常識に?
世界12都市の調査から見えた東京の暑さ

日本の夏が、大きく変わりつつあります。 「昔も夏は暑かった」と言われることがありますが、近年の東京では、その暑さの変化が感覚だけではなく、データにもはっきりと表れています。 ダイキンが実施した「第2回 ダイキン世界の空気感調査」では、暑くなる世界での暮らしとエアコンの使い方について、世界12都市のエアコン所有者1,200人を対象に実施しました。

その結果、東京の94%の人が「5年前より暑くなった」と感じていることが分かりました。世界12都市の平均は86.5%で、東京はそれを上回っています。 

つまり、日本で暮らす人の多くが感じている「最近の夏は以前より暑い」という実感は、世界的に見ても強いものだといえます。 

東京の夏は、どれくらい暑くなったのでしょうか 。実際の気温データを見ても、東京の夏の変化は明らかです。 

6~8月の平均最高気温は、2018~2020年の平均29.7℃から、2023~2025年には31.9℃まで上昇しました。 約5年間で2.3℃上昇したことになります。

 

 ・東京の年間猛暑日数と夏季平均最高気温(6~8月)

 ※猛暑日:1日の最高気温が35℃以上 参考:気象庁「気温について」
  
※上昇幅は、四捨五入前の実数値の差から算出し、小数第1位で表示しています。

猛暑日の年間平均日数では12.0日から23.7日へ増えており、ほぼ2倍になっています。

・猛暑日数の変化

 2018~2020年 平均12.0日 → 2023~2025年 平均 23.7日  

ここ数年で猛暑日が急激に増えていることが分かります。

「最近の夏は暑くなった」という感覚は、決して気のせいではありません。

気温が30℃を超えることが珍しくなくなり、35℃を超える日も増えるなか、日本では夏の過ごし方そのものを見直す必要が出てきています。


東京の冷房使用時間は世界最長の「1日14時間12分」 

夏の暑さが厳しくなるにつれて、エアコンの使い方にも変化が表れています。

1年で最も暑い時期に自宅で1日を過ごす場合、東京の冷房使用時間は平均14時間12分でした。

 ・自宅で一日を過ごす日のエアコン(冷房)使用時間

これは今回調査された世界12都市の中で最も長い時間です。

東京では、29%の人が「24時間、ほぼ終日エアコンを使用する」と回答しています。

さらに、1日11時間以上エアコンを使用する人まで含めると、63%に達しています。

かつての日本では、「エアコンは必要な時間だけつける」という使い方も一般的でした。

しかし現在では、暑い時間帯だけ冷房を使うというよりも、室内環境を一日を通して安定させるためにエアコンを使用する家庭が増えていることがうかがえます。


「夜はタイマー」から「朝までつけっぱなし」へ

 

特に大きな変化が見られるのが、睡眠中のエアコンの使い方です。

東京では、暑い時期の睡眠中に冷房を「朝までつけっぱなし」にする人が58.6%に達しました。

これは、ドバイの67.7%、ヒューストンの63.5%に次いで、世界12都市の中で3番目に高い割合です。

一方、東京で「切タイマー」を利用している人は34.5%でした。

日本ではこれまで、「寝ている間に冷房をつけ続けると体が冷える」と考え、タイマーを利用する家庭も少なくありませんでした。

しかし、夜になっても気温が十分に下がらない日が増えるなか、こうした常識も変わりつつあります。

   ・睡眠時のエアコン(冷房)の使い方



世界で最も多い暑さの悩みは「睡眠の質の低下」

暑さは、単に「不快」というだけではありません。

今回の世界調査では、暑さによる身体への影響も明らかになりました。

最も多かったのは「睡眠の質の低下」で、58.3%でした。

次いで「疲労感やだるさ」が50.9%、「頭痛」が36.1%となっています。

この結果からも、暑さへの対策は昼間だけの問題ではないことが分かります。

夜間も適切な室温を保ち、十分な睡眠を確保することが、夏を健康的に過ごすうえで重要になっています。

・暑さが原因と思われる体の不調



長時間使うからこそ、日本ではエアコンの「使い方」も重視されています。

東京の特徴は、エアコンの使用時間が長い一方で、省エネを意識した使い方をしている人が多いことです。

エアコン使用時の工夫について尋ねたところ、東京では65%の人が「設定温度を高めにする」と回答しました。これは、世界12都市平均の37.5%を大きく上回る結果です。

・エアコン(冷房)使用時の工夫

東京は世界平均を27.5ポイント上回っています。

また、2024年に実施された前回調査では、東京の平均設定温度は26.2℃で、調査対象となった12都市の中で最も高い結果となりました。

つまり東京では、

「暑くてもエアコンを使わず我慢する」のではなく、「長時間使いながら、できるだけ消費電力を抑える」

というエアコンの使い方が広がっていると考えられます。

電気料金への意識も高まるなか、設定温度だけではなく、風量や風向、運転方法などを工夫しながら、効率よく冷房を利用することがこれまで以上に重要になっています。



世界では「生活時間を変える」、東京では「室内環境を変える」

世界に目を向けると、厳しい暑さによって人々の生活スタイルそのものが変わっています。

世界12都市平均では、59.1%の人が、暑さを理由に「日中の外出や屋外での活動を控えた経験がある」と回答しました。

また、40.7%の人が「自宅や屋内で過ごす時間が増えた」と回答しました。

・暑さによる生活習慣や行動の変化



エアコンは「快適さ」のためだけの家電ではなくなっています

一方、東京では、通勤・通学時間を変更したり、活動時間を朝や夜に移したりする行動は、ほかの都市と比べると少ない傾向が見られました。

東京では、生活時間そのものを変更するよりも、エアコンを長時間使用することで室内環境を整え、暑さに適応している可能性があります。

決まった時間に電車で通勤・通学し、学校や会社で一日を過ごすという日本の都市生活では、暑いからといって簡単に活動時間を変えることは難しい面があります。

そのため、外の暑さを避けるだけではなく、健康で快適に過ごしやすい環境に保つことが、日本の暑さ対策においてますます重要になっているといえます。

 

 

・東京の夏に起きている主な変化

こうして並べてみると、日本におけるエアコンの役割そのものが変化していることが分かります。

以前は、「暑いときに部屋を涼しくする家電」という位置づけが中心でした。

しかし現在では、快適に過ごすだけではなく、睡眠環境を整えたり、日々の活動を支えたり、厳しい暑さから身体を守ったりするための生活インフラに近い存在になりつつあります。

暑くなる夏に対して、エアコンを使わずに我慢するのではなく、必要なときには適切に使用しながら、省エネも両立させていくことが重要です。

これからの日本の夏に求められているのは、暑さを一時的な異常として捉えるのではなく、「暑さを前提にした暮らし方」へと変えていくことなのかもしれません。

 

 

世界のユニークな暑さ対策2選

デリー(インド)/ニューヨーク(アメリカ)

「他国の人にお勧めしたい自国のユニークな暑さ対策」について聞いた中から、デリー、ニューヨークのユニークな暑さ対策をご紹介します。

【インド・デリー】

マトカ(素焼きの壺)

インドでは、素焼きの壺「マトカ」に水を入れて冷やす昔ながらの暑さ対策があります。
壺の表面から少しずつ水分が蒸発する際に熱を奪うため、電気を使わず自然に水を冷やすことができます。高温の地域でも手軽に涼を得られる、気候と暮らしに根づいた伝統的な知恵です。

【アメリカ・ニューヨーク】

消火栓開放

ニューヨークでは、夏の暑い日に地域の人々が消火栓から出る水で涼む光景が見られるそうです。
専用のスプレーキャップを取り付け、噴水のように水を出すことができます(行政のルールに基づく申請が必要です)。都市のインフラを地域の暑さ対策に活用する、ニューヨークらしい夏の風物詩です。

編集後記

世界11カ国・12都市に住む人々を対象に、近年の暑さの実感や暮らし・行動の変化、エアコンの使用実態、睡眠・健康への影響、省エネ意識などについて調査した「第2回 ダイキン世界の空気感調査」を元に日本の夏に焦点をあててみました。

調査結果からは、世界的に暑さが厳しくなるなか、東京ではエアコンを長時間使用して室内環境を整えながら、設定温度を高めにするなど、省エネにも配慮する傾向が見えてきました。

暑さを我慢するのではなく、必要なときにエアコンを適切に使いながら、省エネと快適性を両立させることが、これからの夏を過ごすうえでますます重要になりそうです。

今回の調査が、これからの暑さ対策やエアコンの使い方を考えるきっかけになれば幸いです。次回は、エアコンのかしこい使い方をご紹介します。

・関連リンク

 ダイキン世界の空気感調査