
近年の気温上昇により、工場や倉庫、整備場、屋外作業現場などでは、働く人の安全を守るための暑熱対策が、これまで以上に重要になっています。
2025年6月1日には改正労働安全衛生規則が施行され、対象となる暑熱環境下での作業について、熱中症のおそれがある人を早期に発見するための報告体制の整備や、作業からの離脱、身体の冷却、医療機関への搬送などの対応手順をあらかじめ定め、関係者へ周知することが事業者に求められるようになりました。
職場の猛暑対策は、体調確認や水分・塩分補給、休憩時間の確保だけで完結するものではありません。作業空間の温度を下げることに加え、必要な場所へ冷気を届ける、建物や設備から発生する熱を抑える、空調設備を安定して運用する、一時的に身体を冷やせる場所を設けるなど、現場の課題に応じて複数の対策を組み合わせることが重要です。
今回は、2026年7月15日から17日まで東京ビッグサイトで開催された「第12回 猛暑対策展」のダイキンブースから、主な展示内容と事務局メンバーの体感レポートをお届けします。

▶ダイキンブースで紹介された展示を、次の4つの視点からご紹介します。
01.工場・倉庫などの大空間の冷却
02.街中のクールダウン空間
03.建物・設備の熱負荷低減
04.暑熱に繋がる空調運用管理
工場や倉庫では、空間全体を均一に冷やそうとしても、天井が高い、空間が広い、熱源が点在しているなどの理由から、作業者のいる場所まで十分に冷気が届かないことがあります。
会場では、大空間向け空調機「マルチジェット」をはじめ、「マルチキューブ」や「大型天吊ファンコイル」など、大空間の暑熱課題に対応する機器を展示されていました。
大風量の冷気を、必要な作業エリアへ届けることを目的とした空調機です。

工場、体育館、整備場などの暑熱対策にマルチジェット | ダイキン工業株式会社
屋内展示では、機器から約5メートル離れた場所でもはっきりと風を感じました。展示機の吸込口は24.2℃、冷風吹出口は14.0℃で、約10メートル先でも冷風を感じることができました。十分な風量と温度差があり、広い空間の必要な場所へ冷気を届ける力強さを体感できました。
マルチジェットの展示の横では、気流解析シミュレーションや実際の気流動画も紹介され、冷気がどの方向へ流れ、どの範囲まで届くのかを視覚的に確認できました。
・気流解析シミュレーション

※一定の条件下における気流解析結果であり全ての環境下で達成できるわけではありません
[解析条件]
・解析領域・・ H10[m] ×W50[m] xD10[m]・解析領域の境界6面を全て壁として解析
・冷房:初期周囲温度33[℃]・定常解析
現地条件に応じて柔軟に設置でき、1台ごとの温度管理によって、必要な場所を個別に冷却できる空調機です。

MULTI CUBE(マルチキューブ) |ダイキン工業株式会社
展示ブースの天井に設置されていましたが、狙った場所にしっかりと風が届き、スポット冷却の効果を体感できました。
大空間の猛暑対策では、空間全体を冷やすという考え方だけでなく、作業者が長く滞在する場所や、特に暑さが厳しい工程へ冷気を届けることも選択肢の一つになるかと思います。

屋外や半屋外では室内のような空調が難しいため、日陰をつくることに加え、一時的に身体を冷やせるクールダウン空間の整備が重要になります。
会場では屋外用エアコン「アウタータワー」や、「空調機能付きベンチ」などが展示されていました。
・複合的なクールスポットの創出

ダイキンでは、屋外イベント会場や公園、半屋外空間などで、室内のように空間全体を冷房することが困難な場所でもクールスポットをつくる取組を進めています。
炎天下を避け、一時的に身体を冷やせるクールダウン空間をつくることが熱中症対策の一つとしても有効です。
会場では、屋外用エアコン「アウタータワー」に加え、西尾レントオール株式会社様との協業によるクールスポット空間や、空調機能付きベンチが展示されていました。
・OUTER TOWER アウタータワー(屋外用エアコン)

↑ミストの水吹き出し口、磁石で取り外し可能
通常の冷風とミストを加えた冷風を比較できるようにしていました。ミストを加えた場合は風がより冷たくなり、冷風だけの場合との違いを確認できました。
ミストは簡単に取り外し可能でより涼しく感じたい場合にオススメだそうです。
・空調機能付きベンチ

※向かって右はサーモカメラで撮影
座って休憩しながら首元などに風を受けられる構造です。
飲食店のテラス席や公園、都市屋外の公共空間の近くに、身体を冷やしながら休める場所を整えるという考え方を示した展示となっていました。
・水冷式オイルコン

工場内の暑さは、外気や日射だけでなく、生産設備から発生する排熱にも大きく左右されます。会場では、「水冷式オイルコン」が紹介されていました。
空冷式と異なり、工場内へ排熱しないため、設備周辺の熱負荷低減につながります。
作業者の周辺を冷やすだけでなく、熱を発生させる設備側に着目することで、工場全体の温熱環境の改善が期待できます。
・遮熱塗料ミラクール

暑熱対策では空調設備に注目しがちですが、建物へ侵入する熱そのものを抑えることも重要です。会場では、遮熱塗料「ミラクール」が紹介されていました。
屋根などから建物内へ入る熱を減らすことで、空調負荷の低減と暑熱対策の両立が期待できます。空調設備だけに頼らず、建物側から対策することも有効な選択肢です。

暑熱対策では、空調設備を導入するだけでなく、その効果を維持するための運用管理も重要です。
会場では、展示パネルや管理画面の紹介を通じて、設備の見える化や保守管理の効率化だけでなく、「空調を止めない体制づくり」が暑熱対策において重要なテーマになっていることを感じました。
猛暑が続く時期は、空調設備の停止が作業環境に大きな影響を与えます。必要な場所で空調が適切に稼働しているかを継続的に確認し、安定した運用を維持することも、熱中症リスクを軽減するための大切な取り組みです
DK-CONNECT:DK-CONNECT|ダイキン工業株式会社
今回の展示を通じて最も印象的だったのは、暑熱対策は一つの設備だけで完結するものではないという点でした。
大空間へ冷気を届ける対策、建物へ侵入する熱を抑える対策、設備から発生する熱を低減する対策、身体を冷やせる休憩環境の整備、そして空調設備を止めないための運用管理。これらを組み合わせて考えることが重要であると感じました。
2025年の法改正を背景に、暑熱対策は単なる福利厚生ではなく、労働安全衛生や事業継続の観点から取り組むべき経営課題になっています。今回の展示は、その解決策が「空調機器単体」ではなく、「建物・休憩環境・設備・運用」を含めた総合的な取り組みであることを示していました。
ダイキンではこれからも、さまざまな形で工場、倉庫、屋外作業現場で働く人の安全で快適な環境づくりを支援していきます。
※ 本資料に記載した会場での測定値・距離・体感は、展示会場の特定条件下における参考情報であり、製品の性能保証値ではありません。
※ 写真・図版は、会場写真および展示資料を使用しています。
※ 実際の効果は、周囲温湿度、建物形状、熱源、設置条件、運転条件、作業内容等により異なります。導入前に現場調査・設計確認を行ってください。
※ 空調機能付きベンチは「参考展示」と、製品化状況、提供時期、仕様、適用可否が変更される場合があります。
※ 法令に関する記載は概要です。本資料は個別案件の法令適合判断や法的助言を行うものではありません。
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